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京都地方裁判所 平成4年(行ウ)19号 判決

原告

藤田孝夫

原告訴訟代理人弁護士

片見冨士夫

被告

京都市政記者クラブ

被告幹事社

株式会社毎日新聞社

右代表者

代表取締役 小池唯夫

被告幹事社

株式会社近畿放送

右代表者

保全管理人 古家野泰也

被告幹事社

株式会社中日新聞社

右代表者

代表取締役 大島宏彦

被告訴訟代理人弁護士

長谷川宅司

事実及び理由

第三 争点に対する判断

被告の当事者能力(争点1)について

1  権利能力なき社団の成立要件

本件は、原告が、被告を公金支出に係る相手方として損害金の支払いを求めた地方自治法二四二条の二第一項四号に基づく住民訴訟であり、右訴訟には、行政事件訴訟法七条により、民訴法四六条が適用される。したがって、右訴訟の「相手方」となるためには、民訴法四六条の定める当事者能力が必要である。

民訴法四六条は、「法人ニ非サル社団…ニシテ代表者又ハ管理人ノ定アルモノハ其ノ名ニ於テ訴へ又ハ訴ヘラレルコトヲ得」と規定し、いわゆる権利能力(法人格)のない社団に当該者能力を認めている。

右規定の趣旨は、権利能力なき社団であっても、代表者又は管理者の定めがあって対外的な活動を行うものについては、右団体と他人間に生じた紛争につき、民事訴訟による解決を認める必要があることから、法人格を有する団体同様、当事者能力を認めた点にある。

そうすると、民訴法四六条の権利能力のない社団といいうるためには、団体としての組織を備えそこには多数決の原則が行なわれ、構成員の変更にもかかわらず団体そのものが存続し、その組織によって代表の方法、総会の運営、財産の管理その他団体としての主要な点が確定しているものでなければならないと解すべきである(最判昭三九・一〇・一五民集一八巻八号一六七一頁)。

これを具体的にみると、権利能力のない社団といいうるためには、当該団体は、

<1>  団体としての名称を有し、一定の共同目的のために組織された多数人の結合体であって、そこでは多数決の原則が行われていること

<2>  構成員の変更にもかかわらず、団体の同一性を失わず、団体そのものが存続すること

<3>  構成員から独立した団体独自の対外的活動を行い、その対外的活動に必要な代表機関及び団体独自の財産を有し、代表方法、総会の運営、財産管理等の団体としての主要な点が規約等によって確定していること

の三つの要件を満たす必要がある。以下、被告が右の各要件を充足するか否かを検討する。

2  団体として名称を有し、一定の共同目的のために組織された多数人の結合体であって、そこで多数決の原則が行われていること(<1>の要件)

(一)  証拠、前記第二の二の争いがない事実、後記認定の事実、弁論の全趣旨によれば、次の各事実が認められる。

(名称)

(1) 被告は、京都市政記者クラブと称し(前記第二の二1)、規約上も京都市政記者クラブの名称が定められている(〔証拠略〕)。

(目的)

(2) 昭和五三年一一月付の記者クラブに関する日本新聞協会編集委員の見解と解説のうち、記者クラブに関する記述は、日本新聞協会の現在の見解と同じである(〔証拠略〕)。

(3) 右日本新聞協会編集委員の見解によれば、記者クラブの目的はこれを構成する記者が日常の取材活動を通じて相互の啓発と親睦を図る点にある(〔証拠略〕)。

(4) 被告の規約(丙一)は、右日本新聞協会の見解(〔証拠略〕)に基づいて定めらている(〔証拠略〕)。規約には、被告の目的は会員相互の親睦と記載されている(〔証拠略〕)。

(5) 三か月以上常駐の会員にかかる慶弔については、規約上、次のように定められている(〔証拠略〕)。

会員の結婚 五〇〇〇円

会員の死亡 一万円

会員の妻又は夫の死亡 五〇〇〇円

会員の子又は両親の死亡 五〇〇〇円

市内、市外への転勤 三〇〇〇円

(6) 被告の運営は、ほぼ規約に従ってなされているが(〔証拠略〕)、後記4(一)(3)ないし(8)のとおり、被告の幹事社は、京都市の広報担当者との折衝、会員への取材のための事務連絡を行い、また、被告の構成社所属の記者は、京都市役所内の記者室を利用する便宜を与えられる等、被告は、親睦以外の活動も行っており、被告の右目的と実際の活動との間には若干のずれがある。しかし、後記4(四)(1)のとおり、被告は、独自の発表媒体を持たないため、被告としての独自の取材活動は行っていない。

(構成員)

(7) 被告は、規約上、社単位(京都市内に本社又は支社、若しくは支局を有する日本新聞協会及び民間放送連盟加盟社)を加盟主体として、総会においては、構成社が一社一票の議決権を行使することになっている(〔証拠略〕)。

(8) 被告の構成社は、朝日新聞社、読売新聞社、毎日新聞社、京都新聞社、時事通信社、NHK京都放送局、KBS京都(株式会社近畿放送)、日刊工業新聞社、産業経済新聞社、日本経済新聞社、中日新聞社、共同通信社の一二社である(〔証拠略〕)。

(9) 被告の会員は、構成社所属の記者(市政担当主務者)で、登録した者に限られる(〔証拠略〕)。

(10) 被告の会員である個々の記者には、議決権はない(〔証拠略〕)。

(11) 被告所属の会員(記者)総数は、三三名である(〔証拠略〕)。

(12) 日本新聞協会編集委員の見解(〔証拠略〕)には、記者クラブは、取材記者の組織であるとされている。

(13) 被告の会員につき、除名退会勧告の処分決定があった場合、事実上、その構成社も、京都市役所内の記者室を利用できなくなる(〔証拠略〕)。

(14) 被告の会費は、規約上、被告の構成社単位ではなく、構成社の会員一人当たりの額で定められている(〔証拠略〕)。

(15)被告では、構成社と個々の会員は規約ほど明確に区別されていない(〔証拠略〕)。

(多数決の原則)

(16) 総会は、構成社の三分の二以上の出席で開き、議決は、その出席社の三分の二以上の同意を要する(〔証拠略〕)。

(17) 構成社の新規加入は、総会で三分の二以上の賛成を要する(〔証拠略〕)。

(18) 会員の増員は、その構成社から幹事社に文書による届出を行い、総会の二分の一以上(過半数)の賛成を得て決する(〔証拠略〕)。

(19) 被告の規約の趣旨に反した行動があった会員は、総会で除名、退会勧告の処分を受けることがあり、その処分の決定は、構成社の四分の三以上の同意を要する(〔証拠略〕)。

(20) 規約の改正には、総会の議決を要する。

(二)  右(一)(1)ないし(20)の各事実によれば、次のように認められる。

(1)  被告は、団体として京都市政記者クラブの名称を有し、日常の取材活動を通じて会員相互の親睦を図るも目的のために組織された団体である。

(2)  被告の本来的な構成員は、規約上の議決権の所在からみて被告の構成社であるが、会費の徴収、会員の増員、会員の除名退会勧告等の規約上の規定及び被告では構成社と個々の会員は規約ほど明確に区別されていないとの実態に照らし、構成社の所属会員も、二次的には構成員と認められる。

(3)  被告の構成社は、一二社で、その会員は、三三名であり、その数は多数といいうる。

(4)  被告の総会は、多数決の原則がとられている。

(三)  右認定によれば、被告は、団体としての名称を有し、一定の共同目的のために組織された多数人の結合体であって、そこでは多数決の原則が行われていることという、前記<1>の要件を満たすものというべきである。

(四)  被告の主張の検討

被告は、京都市政記者クラブは単なる親睦団体であって、その構成員も、一二社と少なく、構成員の個性を無視しうる多数人の結合体とはいいがたいと主張する。しかし、右(二)<2>の認定のとおり、被告の会員も、二次的にはその構成員というべきであるから、構成社のみを構成員とする被告の主張は、その前提において理由がなく、採用できない。

3  構成員の変更にもかかわらず、団体の同一性を失わず、団体そのものが存続すること((2)の要件)

(一)  証拠、前記認定の事実、弁論の全趣旨によれば、次の各事実が認められる。

(構成員)

(1) 被告の本来的な構成員は、被告の構成社であるが、構成社の所属会員も二次的には構成員と認められる(前記第三の2(二)(2))。

(構成員の変更と団体の存続)

(2) 被告への加盟資格は、京都市内に本社又は支社、若しくは支局を有する日本新聞協会及び民間放送連盟加盟社に限定されている(前記第三の2(一)(7))。

(3) 構成社の新規加入は、規約上、総会で三分の二以上の賛成を必要とする旨が規定され、特別多数決の承認が必要である(前記第三の2(一)(17))。

(4) 構成社の新規加入は、右のとおり、総会で三分の二以上の賛成を必要とするため、近年では新規加入の例はない(〔証拠略〕)。

(5) しかし、被告の会員の増員、交代は、その構成社から幹事社に文書による届出を行い、総会の二分の一以上(過半数)の賛成を得れば足りるから(前記第三の2(一)(18))、転勤などのため頻繁に行われている(〔証拠略〕)。

(6) 被告の規約には、「この規約の改正は、昭和五七年六月一日より適用する」とあり、少なくともこの頃から、現在に至るまで右規約に基づいて被告は、京都市政記者クラブとして現在も存続している(〔証拠略〕)。

(二)  右(一)(1)ないし(6)の各事実によれば、次のように認められる。

なるほど、被告の本来的な構成員である構成社についてみれば、その加入資格及び新規加入は、規約上、かなり限定されており、近年は、新規加入の例がないというのであるから、被告主張のとおり、構成社の交代は事実上制限されているといえる。しかし、被告の二次的な構成員である個々の会員についてみれば、前記のとおり、記者の転勤などによって不断にその交代があり、そのことは規約上も予定されている、そして、右会員の変更にもかかわらず、被告は京都市政記者クラブとしてその団体の同一性を失うことなく、現在も存続している。

(三)  したがって、被告は、構成員の変更にもかかわらず、団体の同一性を失わず、団体そのものが存続することという、前記<2>の要件を満たすものというべきである。

4  構成員から独立した団体独自の対外的活動を行い、その対外的活動に必要な代表機関及び団体独自の財産を有し、代表方法、総会の運営、財産管理等の団体としての主要な点が規約等によって確定していること(<3>の要件)

(一)  証拠、前記認定の事実、争いがない事実、弁論の全趣旨によれば、次の各事実が認められる。

(対外的活動)

(1) 日本新聞協会編集委員の見解によれば、記者クラブは、取材記者の組織であるから、取材活動の円滑化を図るため、若干の調整的役割を果たすことが認められ、右調整機能の一つとして、ニュース協定が認められる。

右の点は、「記者クラブは取材上の問題には一切関与しない」というこれまでの原則を「取材活動の円滑化をはかるため、若干の調整的役割を果たすことが認められる」という実態に即した形に補正したものである(〔証拠略〕)。

(2) 被告の規約(〔証拠略〕)は、右日本新聞協会の見解に基づいて作成され、被告は、右規約に基づいて運営されている(前記第三の2(一)(4)、(6))。

(3) 被告の事務所は京都市役所記者室に置かれている(〔証拠略〕)。

京都市は、市役所内に記者室を設け、被告の会員にその利用を認めている(争いがない)。

(4) 右記者室には、付属設備として電話一一回線、ファックス、コピーがあり、京都市の各局と市政記者との連絡調整をする係として係長一名と女子職員一名の合計二名が配置されている(〔証拠略〕)。

(5) 右記者室に常駐しているのは、現状では、被告の会員の記者のみである(〔証拠略〕)。

(6) 右記者室は、会員相互の親睦のためにあるのではなく、個々の記者の取材活動の便宜のためにある(〔証拠略〕)。

(7) 共同記者会見は、右記者室で行われることが多い。その共同記者会見を主催するのは、京都市と被告の双方というのが実態である(〔証拠略〕)。

(8) 被告の幹事社は、京都市や市民団体との共同記者会見等の打合せ、会員へのその旨の事務連絡を行っている、例えば、市政にかかわる問題で、京都市のほか、団体、個人から共同記者会見の申込みがあった場合、幹事社が、それらの情報提供者と協議して共同記者会見の日時、場所を決め、記者室内に提示して会員に知らせるのである。そして、この場合、会員への連絡に事務連絡網が利用されることがある。また、共同記者会見では、幹事社が司会を務め、代表質問を行うこともある(〔証拠略〕)。

(9) 京都市長は、原則として月二回、被告所属の記者と京都市役所内の第一応接室で記者会見を行っている(〔証拠略〕)。

(10) 被告は、会員転勤の際の送別会の飲食代金や雑誌の購入代金を京都市政記者クラブの名で支払っている(〔証拠略〕)。

(機関)

(11) 被告の総会は、規約上、年二回(一月と七月)、定期総会が、必要に応じて臨時総会が開かれることになっている(〔証拠略〕)。

(12) 総会は、構成社の三分の二以上の出席で開き、議決は、その出席社の三分の二以上の同意を必要とする(前記第三の2(一)(16))。

(13) 被告の総会等の運営のため、四か月交代で構成社の中から三社が幹事社をつとめている(〔証拠略〕)。

(14) 幹事者は、総会の招集、運営、会計等を担当する(〔証拠略〕)。

(会費、財産)

(15) 被告の会費は、規約上、会員一人当たり月四〇〇円、別に総会費として、年二回、毎回会員一人当たり五〇〇〇円、必要に応じて臨時会費を徴収することになっている(〔証拠略〕)。

(16) 右会費は、会員転勤の際の餞別、送別会の飲食費、被告で講読している雑誌の購入費などの運営費に充てられている(〔証拠略〕)。

(17) 被告の会計年度は、総会から次の総会までの間とし、会計は、総会で報告、承認を受けるものとされている(〔証拠略〕)。

(二)  右(一)(1)ないし(17)の各事実からすると、次のように認められる。

(1)  被告の幹事社は、京都市の広報担当者や共同記者会見の申込みのあった個人や市民団体との折衝、飲食物、雑誌の購入等の対外的な活動を行っている。そして、右幹事社については規約上、四か月交代で構成社の中から三社が幹事社をつとめることとされている。

(2)  被告の構成社の記者(会員)は、京都市役所の記者室を利用し、取材上の便宜を受けている。

(3)  幹事社は、徴収された会費等からその名において送別会の飲食代金の支払い、雑誌の購入を行ったり、あるいは、被告の会計を総会に報告し、承認を受ける等の行為を行う。また、被告には、前会計年度の繰越分の金銭などその管理にかかる財産が皆無とはいえない。

(4)  被告の総会の招集、運営方法は、規約によって確定している。

(三)  他方、証拠、前記認定の事実、弁論の全趣旨によれば、次の各事実が認められる。

(対外的活動)

(1) 被告は、独自の発表媒体を有していない(〔証拠略〕)。

(2) 日本新聞協会編集委員の見解にいう取材活動を円滑にする調整機能は、限定的に解釈すべきもので、その範囲は、記者会見及びレクチャーのあっせん、各本社の了承を得た必要やむを得ない場合の協定行為等に限られる(〔証拠略〕)。

(3) 日本新聞協会編集委員の見解は、各公共機関の記者室における便宜供与は当該公共機関を常時取材する個々の記者の活動に対して行われるものであって、記者クラブの組織に対するものではないとしている(〔証拠略〕)。

(4) 被告の規約は、右日本新聞協会の見解に基づいて定められ、運用されている(前記第三の2(一)(4)、(6))。

(5) 京都市は、市役所内に記者室を設け、被告の会員の市政担当記者にその利用を認めているが(争いがない)、右利用は、本庁舎における行政財産の目的外使用処理方針(〔証拠略〕)の(2)<2>「市の事務事業遂行上必要なため市が部屋又は場所を提供する場合」に当たるものとして取り扱われている(〔証拠略〕)。

(6) 被告は、右記者室の利用に関し、京都市との間で使用貸借契約を結んでいるわけではない(〔証拠略〕)。

(7) 前記処理方針(〔証拠略〕)の(3)「使用料免除について」は、使用契約を前提とするものであるから、右記者室には適用がない(〔証拠略〕)。

(8) 記者室は、被告の構成社の会員である記者のみが利用できるのではなく、右以外の記者も利用できる建前になっている(〔証拠略〕)。

(9) 被告において、一度だけ外部の市民グループから記者室において共同記者会見をした旨の申込みがあり、これを認め、記者会見をしたことがある(〔証拠略〕)。

(10) 公表、会見の場として記者室が利用される場合、スペースの関係上、構成社の記者が原則として出席することを予定して、公表、発表がなされても止むを得ない側面がある(〔証拠略〕)。

(機関)

(11) 幹事社は、総会で特に選任されることはなく、一二社の構成社が三社ずつ四グループずつ分けられ、各グループの構成社が順次四か月間、幹事社を担当することになっているから、結局、一年間で全構成社が持ち回りで幹事社を行うことになる(〔証拠略〕)。

(会費、財産)

(12) 被告の規約上、総会は年二回(一月と七月)、定期総会を、必要に応じて臨時総会を開くことになっているが、現在、定期総会は開かれておらず、必要に応じて開かれることになっている(〔証拠略〕)。右のとおり、定期総会が定期に開催されていないため、総会費として五〇〇〇円は徴収されていない(〔証拠略〕)。

(13) 被告は、机、備品等の独自の財産を有していない、記者室にある机等の備品は、すべて京都市のものである(〔証拠略〕)。

(14) 被告の規約上、会計の報告、承認の手続以外は、財産管理の方法や構成員の財産に対する持分の行使方法等の規定がない(〔証拠略〕)。

(四)  右(三)(1)ないし(14)の各事実によれば、次のように認められる。

(1)  被告は、発表媒体を有していないため、被告独自の取材活動をしていない。被告の幹事社は、京都市の広報担当者や市民団体との折衝、会員への取材のための事務連絡を行うが、その取材活動を円滑にするための調整機能は、必要最小限度のものに限られている。また、被告の構成社所属の記者は、京都市役所内の記者室を利用する便宜を与えられ、それが単なる会員相互間の親睦のためではないとしても、右便宜は、被告構成社の記者の個々の取材活動のために供与されているものであって、被告の取材活動のために供与されているものではない。そして、右記者室の利用は、京都市との契約に基づくものではない。

(2)  被告は、机、備品等の独自の財産を有しておらず、したがって、規約上も会計の報告、承認の手続以外は、財産管理の方法や構成員の財産に対する持分の行使方法等の規定がない。

(五)  そうすると、前記4(二)の認定のとおり、被告が第三者と対外的な活動を行っているとしても、右(四)(1)の認定によれば、それは、極めて限られた範囲の第三者(京都市の広報担当者や市民団体等)を相手とする活動であって、それが被告の構成員である構成社、会員から独立した別個の社会的活動とは評価できない。そうであるから、右幹事社も、その限られた範囲の活動を代行しているにすぎないというべきである。これに、幹事社は総会で特に選任されることはなく、一年間で全構成社が持ち回りで幹事社を行うことになる仕組みになっていること、及び前記2(二)(1)の認定のとおり、被告の目的が基本的には会員相互の親睦を図る点にあることも考え併せれば、幹事社の役割は、主として会員相互間の親睦のための対内的な事務連絡の窓口となる点にあると解すべきである。

そして、前記4(二)(3)の認定のとおり、被告の規約によって会計等の手続が定まっているとしても、右(四)(2)の認定によれば、被告には、独自の財産がなく、その管理の定めが規約にないというのであるから、財産管理の方法が規約で確定しているとはいえない。

したがって、前記4(二)の認定事実によっても、被告が、前記<3>の要件を満たしていると認めるに足りず、その他、これを認めるに足る的確な証拠がない。

(六)原告の主張の検討

これに対し、原告は、被告は取材のための事務連絡等を行うだけではなく、独自の取材活動を行う取材を目的とした団体というべきであり、取材活動という対外的活動を行っていると主張する。そして、これに沿う記者クラブの閉鎖性等を指摘した書証(〔証拠略〕)を提出する。

しかし、前記2(二)(1)、4(四)(1)の各認定に照らせば、右各書証のみによって、被告である京都市政記者クラブが、専ら取材の便宜のために組織されているとか、独自の取材活動を行っているとの事実を認めることはできないから、原告の主張は失当である。

5  まとめ

このように、被告は、権利能力なき社団の成立要件のうち、<1>団体としての名称を有し、一定の共同目的のために組織された多数人の結合体であって、そこでは多数決の原則が行われていること、<2>構成員の変更にもかかわらず、団体の同一性を失わず、団体そのものが存続することという各要件を充足するが、<3>構成員から独立した団体独自の対外的活動を行い、その対外的活動に必要な代表機関及び団体独自の財産を有し、代表方法、総会の運営、財産管理等の団体として主要な点が規約等によって確定していること、という要件を充足しない。したがって、被告は、権利能力なき社団には当たらず、民訴法四六条の「法人ニ非サル社団……ニシテ代表者又ハ管理人ノ定アルモノ」に該当しない。

第四 結論

以上のとおり、被告には、当事者能力が認められないから、本件訴えは、却下を免れない。

(裁判長裁判官 松尾政行 裁判官 中村隆次 河村浩)

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